ケーススタディ / 電力線伝送

遠隔地での風況測定は、電源が確保できないため、常に困難を伴います。

背景

遠隔地での風況測定は、電源が確保できないため、常に困難を伴います。 太陽電池パネルや風力発電機、ディーゼル発電機、バッテリーなどは、設置やメンテナンスが複雑で高価なため、電源が確保できないことは、計測機器導入を大きく制限してきました。 結果的に、広い地理的領域が全く計測されることなく取り残され、気象情報や予報の精度悪化を引き起こしました。

アイスランドに拠点を置く、高圧監視技術の会社であるLaki Powerは、この問題を解決する新しい方法を開発しました。 Laki Powerの監視局は、電力線上に設置され、電磁誘導により電力を生成します。 アイスランドに拠点を置く、高圧監視技術の会社であるLaki Powerは、この問題を解決する新しい方法を開発しました。 Laki Powerの監視局は、電力線上に設置され、電磁誘導により電力を生成します。 監視局には、風速や風向、周囲の温度や塩分などを測定する多数の気象観測機器が設置されています。 これらの気象観測機器は、リアルタイムでデータをモバイルネットワークを介して電力網の事業者に提供します。 気象観測機器は、30分で設置でき、メンテナンスなしで動作するように作られています。

大動脈である送電網は広大な地理的領域に張り巡らされているため、Laki Powerの発明は、他のソリューションに比べて数分の一のコストで、より多くの場所から気象観測データを得ることを経済的に可能にしました。 電力線は、山岳、森林および渓谷を横切り、本質的に地域の気象観測に必要な各種の微気候を通過します。 監視局は、送電システム事業者(TSO)、配電システム事業者(DSO)、その他の電気事業者向けに開発されたもので、既存の送電線の容量を増やすことを目的とした動的線路定格(DLR)の展開に大きな可能性を秘めています。 また、気象庁や高速道路の管理局なども、気象情報の死角を解消するためにLaki Powerのソリューションの展開に関心を示しています。

監視局は、高圧電力線の上に直接設置されており、しばしば風速などの気象条件が極端に変化する山岳地域に設置されます。 寒冷な気候では、電力線凍結の危険があり、高温、乾燥な気候では高温や山火事の危険があります。 そのため、LKXの多目的監視およびDLR局を設計する際、Lakiは過酷な状況下でも正確な風速と風向を測定できる風センサーを組み込む必要がありました。 また、小型、軽量で、高電圧および激しい振動の環境下でも耐えられるセンサーが必要でした。

プロジェクト

Laki Powerは、このような広い使用環境に耐えうる風センサーを用意するため、FT Technologiesに話を持ちかけました。 FT742-SMは、小型で、表面実装が可能であり、氷結を防ぐ本体加熱が可能であることから、FTの製品の中で最も適していると判断されました。

当初、FT742-SMをLKXモジュール上部に取り付けることを考えていました。 初期試験では、センサーは予想される高電圧に耐えられると判断されました。 しかし、余裕を持たせるために、Laki Powerのエンジニアは、センサーをモジュールの下に設置し、電界からの保護を強化することにしました。 さらに、コロナ放電の可能性を減らすために、センサーの上にかぶせるキノコ型のキャップも開発しました。

LKX-201ステーション全体にセンサーとキャップを組み込んだ状態で、ドイツのDeutsche WindGuardの風洞実験室で風洞試験が行われました。 空力効果を特定して補正し、測定データの十分な精度を確保するために、広範囲にわたる較正データが収集されました。

現在、アイスランドとノルウェーの送電線に複数のLKX-201局が設置されており、氷や強風などの極めて厳しい環境下でも完璧に動作しています。

Laki LKX power line surveillance with FT742-SM wind sensor
FT742-SM wind sensor on a Laki power line transmission monitoring station

高電圧多目的監視およびDLR局LKX-201は、魚眼グランドビューカメラ付き4K双方向カメラと、サーモグラフィと環境センサーの精巧な配列とを組み合わせることで、送電線および地上の幅広い監視機能を実現しています。

結論

“「今まで評価したすべてのセンサーの中で、FT風センサーは、弊社の基準を満たす唯一のセンサーであることがわかりました;高電圧環境で動作し、極寒や氷に耐え、小型、軽量で弊社のデザインに収まります。 完璧な組み込みを行うためFTと緊密に連携した後におこなった風洞試験の結果に満足しました。 結果は、送電線の風速測定を高い精度で行うことができることを示しています。

“「風力や太陽光のような再生可能エネルギーがほぼコモディティ化している現在、投資家や電力会社は利益率を向上させる方法を模索しており、そのために制御システムの改良に目を向けています。 再生可能エネルギー発電システムへの投資コストを考慮した場合、特に風力発電や太陽光発電システムでは、システムを最大出力付近で運転することが重要です。 さらに、風力発電や太陽光発電の電力資源は間欠的であるため、風速や日射量の正確な予測とモデリングが必要となります。 加えて、より安定した電力供給のために、再生可能エネルギー発電システムは通常、電力網と相互接続されています。

“「FT742-SMを弊社監視局に組み込むことで、風速と風向の情報をリアルタイムで送電システムや電力網の事業者に提供できます。これにより、特に寒冷地や遠隔地、山火事のリスクが高い地域で電力網インフラの監視と管理のための実用的な情報を得ることができます」 ”

Bjorgvin Sigurdsson
最高経営責任者
Laki Power
アイスランド

wind sensors on power line monitoring in Iceland